これまでのあらすじ「なぜか、ふらつく」

「多系統萎縮症」と診断されるまでの道のりです。
お医者さんが、なんだかわからないとか原因不明と言ってるうちは、それで「はい、そうですか」と簡単におしまいとするわけにはいきません。多分、本当にわからないので「まだ途中ですが一旦診断を終える」程度のことだと思っておいた方がいいでしょう。お医者さんが、なんだかわからないけど…、と言っているうちは、というか、何の病気か、何の症状か、自分で納得できるまでは、いろいろなお医者さんに見立ててもらった方がいいです。「よくわからない」と仰るお医者さんは、何度見てもらっても、その“お見立て”が変わることはないので、他のお医者さんに診てもらったり、納得できるまでいろいろな方のご意見を聞くのがよいです。

1年程前のこと。
寝てる間、普段からいびきはしてましたが、寝相が悪いなんてことはありませんでした。
ある晩、突然ベッドから落ちてしまいました。顔面をしたたかぶつけて、マンガのように眼の周りに青タンができました。そういえば、その頃いつも、朝起きると、なんとなくフラフラしてたから、よく眠れてなかったのかしら、なんて思ってました。しかし、不眠というわけでもなく、朝起きづらく、ときどきベッドから落ちるのは何だろうと思うくらいで。そこで、長い間通っている、鍼医の先生に聞いてみると、自律神経を整えた方がいいと言われるようになりました。

ある晩などは、寝ている間に絶叫したり、隣に寝ているカミさんの胸グラをつかんだりしました。後々調べてみたら、“夜驚症”という「睡眠時随伴症」とか「レム睡眠行動障害」と呼ばれるものだそうで、多系統萎縮症やパーキンソン病になる前の症状ともいわれています。

あと、「めっきり酒に弱くなった」と自分で言っていたと、本人は覚えていないけれど、友人が覚えていたのですが、まさに、少し飲んだだけで酔っ払っちゃって、また、酒も飲んでないのに、酔っぱらっているように、フラフラ歩くようになってきたのです。

座ったり寝てるときの血圧と立ち上がった時の血圧の下がり具合が激しい「起立性貧血」かも、と言われたことも。しかし、立ち眩みがあるわけでなく、ただフラツくのです。たとえば、廊下に置いてあるものを避けようと、たかが15cm程の段差を飛ぼうとしたら、よけきれずに脛をしたたかぶつけて、整形外科に駆け込んだりしました。徐々にバランス感覚を失っていたのでしょう。

かかりつけの耳鼻科の先生にも相談すると、三半規管の乱れかもしれないといわれ、大学病院に回してもらい、検査してもらったりしました。なにやらフリスビーをひっくり返したような、バランスの悪いモノの上に乗ってしばらく立っていると、体の揺れが記録されるという、見たことのない検査器具を使って調べてもらったら、たしかに体が振動していることは分かりました。さらに、耳の中に水を入れて、人工的なめまいを起こす、なんて、ちょっと聞いたら怖そうな検査もしたら、ちゃんと”正しく”めまいが起きて、三半規管は問題ないと診断されたり。いろいろな検査の結果、耳鼻科の範疇でいうところのメニエール病とか、三半規管の不調によるめまい、ではなさそうということになって、とりあえず、めまいに効く漢方薬を処方されました。それから、耳鼻科から神経内科に回してもらいました。

神経内科の先生からは、まず、両足を縦に並べて、平均台の上を歩くように歩く「継ぎ足歩行」を診てもらうと、フラフラと危なっかしくて、いつのまにかこの程度も普通に歩けなくなってたり。それから、自分の鼻と、目の前の先生の人差し指の間を、自分の指で往復させるような運動をさせられます。すると右手は別に問題なく往復できるのですが、左手がちょっと動きが悪く、自分の鼻は指させても、先生の人差し指に指すときにズレてしまうのです。そこで脳のMRIを撮ってみることになりました。それで脳の輪切り写真が撮れるので、それを診てもらったら、加齢によるシミ、軽い脳梗塞の跡が見えたそうですか、それは年齢相応で、至って普通だと言われ、他には問題が見当たらず、転ばないように気をつけなさい、と言われました。

…この頃は、まだまだ「多系統萎縮症」なんて言葉さえ知りません。お医者さん、いろいろな科に行ってみても、わからないときはわからないものですね。みなさんも、もし、何だかわからない体の不調が起こったら、納得いくまで、いろいろな先生に診てもらいましょう。
さて、この段階ではまだ納得してない僕はと言えば、しつこく違うお医者さんを探すのであります。
つづく…

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